播磨地域で活躍する人をゲストに迎え、ものの見方や考え方などを紹介する哲学講座「百人の哲学」が10月12日、コミュニティースペース「納屋工房」（姫路市本町）で開かれた。

　同講座は、播磨地域で活躍する人の中から100人にスポットを当て、人生哲学や経営哲学などをシリーズで紹介するもの。毎月1回、市民らでつくる「百人の哲学委員会」 がゲストを選び、インタビュー形式で紹介する。

　10回目となる今回のゲストには、1897（明治30）年創業の老舗時計店「ナガハマ時計店」代表で一級時計修理技能士の永濱修さんを迎えた。

　永濱さんは、1944（昭和19）年生まれ。生野工業高校時計・計器科卒業後、一級時計修理技能士の資格を習得。阪神大震災を大きな転機に「形見の時計 や思い出の時計を直す」という「心」を大切にした仕事を始めるようになった。現在は、兵庫県時計技能士会代表として活躍し、ものづくりの面白さや技能の素晴らしさを伝えるために県下の中学校で「兵庫の匠」として、腕時計を組み立てる授業などの活動も行っている。

　当日は、友人の死や震災から奇跡的に生還した身内の話など、永濱さんが現在の活動を始めるきっかけとなった体験を披露したほか、永濱さんの元に届いたお 礼の手紙や取材を受けたメディアの記事などを展示して永濱さんの人生哲学を紹介。途中、感極まり永濱さんや観客が涙する場面もあった。

　「毎日幸せを実感しながら生きている」という永濱さんは「自分のためだけでなく人のためにできることを見つけ勇気を持って一歩踏み出すことが大事。それができれば、幸せな人生を送れるのでは」と話す。

　同イベントの内容は、今月23日22時から地元のコミュニティーFM「FM GENKI」で放送する予定。