姫路の亀山御坊「本徳寺」(姫路市亀山)で毎月開催されているマルシェ「亀山御坊楽市楽座」が1月27日、10周年を迎えた。
地元産食材の地産地消促進を目的に、生産者らが同寺の境内へ出店する同マルシェ。2002年12月に20店が集まり初めて開催された朝市をルーツに、2003年3月からは「楽市楽座」として毎月第4日曜日に開催。120回目を数える今回を10周年の記念開催とした。
同寺は浄土真宗本願寺派(京都市下京区)の別院。約2万平方メートルの境内には、同派本山・西本願寺(同)の旧北集会所で、幕末に新撰組隊士が刀を振るい傷つけた柱などもそのままに移築した本堂など、大小26棟の堂宇(どうう)が並ぶ。
「由緒を誇りながらも、この寺は伝統的に門徒(=檀家)を持たなかったことから、マルシェの会場となるまでは訪れる人も少なく寂しい雰囲気だった」と同マルシェ実行委員の一人でNPO法人「コムサロン21」(下寺町)の前川裕司さん。「住職が大学時代の先輩だったことから、当NPOが取り組む地域交流の推進や食文化の向上といった事業の一環として同寺周辺ににぎわいを創出しようと、マルシェの立ち上げを提案した」と振り返る。
当日は、足軽に扮装(ふんそう)して姫路城でボランティア門番を務める「門番さくら組」のメンバーらが「出張門番」として同寺正面の大門を守る中、鮮魚や野菜、ファストフードや骨とう品などを並べる約80店が境内に出店。本堂では、同寺の寺宝を特別公開する傍ら、姫路ゆかりの武将・黒田官兵衛と仏教との関係をテーマに識者が語り合う「歴史対談」も120回特別企画として実施。合わせて約5000人が訪れた。
「回を重ねるごとに来場客が増え、地元の名物イベントとして定着してきた」と前川さん。「単に娯楽の提供や集客を目的にすることなく、楽市楽座ならではの特色を打ち出していきたい」と今後に向けた展望を語る。