10月の秋祭りシーズン「祭り月」を控え、今年も姫路市内の各所で、祭り文化の保存と継承を目指す市民団体「屋台文化保存連絡会」発行のポスター「播磨の祭り」の掲示を見かけるようになった。
姫路青年会議所の会員らを中心に1998年に結成された同連絡会。現在は、各神社の祭りを支える82地区の氏子団体が名を連ねる。活動の柱に据えるのは「祭り文化の保存と継承」。姫路を中心とする播磨地域一円での秋祭り情報を発信するとともに、氏子らが祭りに練り出す同地域独特の太鼓台(=屋台)を展示する施設「播州屋台会館」開設の実現を目指す。ポスターの発行は毎年恒例。会員地区屋台の写真や屋台の新造情報などを網羅していることから、これを待ちかねて入手し、自宅前などに貼り出す人も多いという。
「屋台会館の実現は道半ば。祭りの魅力を発信することで道筋を付けていきたい。ポスターや会報の発行もその一つ」と同連絡会の松本彩稔さん。「実現には観光行政の協力が欠かせない。今後も地道な活動を通じて理解を求めていく」と話す。
会員地区のうち市内で最も早く祭りを執り行うのは通称「恵美酒宮」「浜の宮」両神社(飾磨区)で、10月8日・9日。両神社の周辺では現在、準備がたけなわで、最寄り駅の山陽電鉄飾磨駅前では、祭りに欠かせない道具立ての一つ「大道輿」(だいどうごし、「だてぼし」とも)と呼ばれる門柱や神社名を染め出したのぼりなどを氏子らが整えた。
「浜の宮」の氏子で飾磨駅前に宝石店を構える野口貴司さんも祭りを心待ちにする一人。同連絡会のポスターは早々に入手して店頭に貼り出した。「立ち止まってポスターを眺めていく人も多い」という。
野口さんの楽しみは、同店前の道路を通行止めにして繰り広げられる「恵美酒宮」屋台の妙技で、24人の練り子が約2トンの屋台を練り上げる姫路市指定無形民族文化財「台場練り」だ。「今年も早く見たい。もちろん地元『浜の宮』の屋台も担ぐつもり」と話す。
両神社の祭りを皮切りに10月いっぱい、姫路では各神社が順次祭りを執り行う。ポスターは姫路青年会議所(姫路市下寺町、TEL 079-281-0887)で入手できる。部数限定。