JTB西日本姫路支店(姫路市南駅前町)が提案する着地型旅行商品「日本酒のふるさと『はりま』を訪ねる旅」が12月7日・8日、ツアーの商品化を視野に入れモニターを募る「モニターツアー」として1泊2日で催行された。
ツアーには兵庫県南西部の播磨地域21市町から成る「播磨広域連携協議会」と同地域の4酒造組合が地元産日本酒の地域ブランド化を目指して連携する「はりま酒文化ツーリズム協議会」などが協力。文化庁の肝いりもあって旅行業者らが開発に取り組む「着地型旅行商品」の先駆けとして10月と今回の2回にわたり大阪発のバスツアーを仕立て、それぞれ1泊2日の行程で播磨各地に点在する酒蔵を巡った。
10月のテーマは「新酒の仕込み」。「龍力・本田商店」(網干区高田)など今シーズンの新酒づくりに入ったばかりの酒蔵7カ所を訪問するとともに酒造好適米「山田錦」を栽培する田にも足を運んだという。
今回のツアーは「新酒のしぼり」をテーマに実施。搾りたての新酒を試飲できる内容とした。大阪や奈良、東京などから参加したツアー客約40人が訪問した酒蔵は5カ所。7日に訪問した「田中酒造場」(広畑区本町3)では、今日が公式デビューという「はりま酒文化ツーリズム」のキャラクター「もりりぃ」が出迎える中、特別なはからいで蔵へ入り、てこの原理を応用する「石掛け式天秤(びん)」による搾り工程を見学した。
同工程は戦後途絶えていたところを同酒造場が2000年ごろに復活させたという伝統手法。長さ約6メートルあるケヤキ製の棒に石をつり下げることで「もろみ」の袋にゆっくりと圧力を加え、3日がかりで酒を搾る。試飲に参加したツアー客らは一般的な工法の酒と飲み比べながら「味に円みを感じる」「余計な味わいがしない」などと感想を話し合っていた。
見学を終え赤穂市の宿に到着した一行は、夕食の席に設けた「利き酒大会」にも参加。播磨一円の酒蔵18カ所が提供した自慢の酒を存分に味わい、翌8日は「灘菊酒造」(手柄1)で昼食を楽しむなどツアーを満喫し、帰途へついた。
同行したフリーアナウンサー・あおい有紀さんは「いずれの蔵にもその土地ならではの自然を相手に酒を醸す姿があった。物語のように思い浮かべながら杯を傾けていただくと、より一層酒を楽しめるのでは」と話し、ツアーを締めくくった。
同様の酒蔵巡りは神姫バスツアー(姫路市)も企画。来年1月から3月にかけて日帰りツアーを設定し、参加者を募集している。