山陽電鉄と阪神電鉄、近鉄の私鉄3社が2月24日、山陽姫路~近鉄奈良間約126キロを初めて直通するイベント列車「姫路~奈良 直通列車で行く山陽・阪神・近鉄 私鉄3社車庫巡り」号を運行した。
私鉄ネットワークの利便性を幅広くPRすることを目的に、山陽電鉄と阪神電鉄、近鉄が合同で企画した同列車。3社の路線は神戸高速鉄道(西代~元町)を挟んで接続しているものの定期列車の設定はなく、現在は、山陽姫路~阪神梅田で山陽と阪神が直通特急を、阪神三宮(一部新開地)~近鉄奈良で阪神と近鉄が快速急行を、それぞれ相互乗り入れで運行している。
イベント列車は、姫路から奈良へ向かう片道のみで設定。参加者は、途中3社の4車庫を見学できる。定員は280名。運行を発表した昨年12月21日から申し込みを受け付けたところ、今年1月31日の締切までに全国から約1500人が応募。約5倍の競争率で抽選を行った。
「駅貼りのポスターを見て乗車を申し込んだところ、幸運にも当選した」と家族3人で参加した高木俊弥さん(姫路市在住)。「奈良では大仏殿などを参詣する予定。直通列車が定期的に運転されるようになれば、ぜひ利用したい」と話し、今後の動向に期待を寄せる。
当日は、同列車の起点となる山陽姫路駅に参加者らが続々と集合。9時20分ごろに阪神電鉄の1000系車両で仕立てた列車がホームに到着すると同時に乗車した。同30分から執り行われた出発式では、姫路市の親善大使「お城の女王」3人も登場。関係者らが式辞を述べる中、3社の路線を初めて直通する列車の出発に花を添えた。
「山陽と阪神両社の協力を得て企画した列車。多数の申し込みをいただくなど反響の大きさに感謝している」と近鉄大阪輸送統括部の田島学さん。「お客さまの声を生かしながら、再び運行できる機会があれば」と話し、添乗員として同列車に乗り込んだ。
参加者と添乗員、「お城の女王」を乗せた列車は、9時40分に出発。集まった鉄道ファンらの見送りを受け、一路奈良を目指した。