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失われる姫路「モノレール遺産」-旧大将軍駅が入るビル取り壊しへ

取り壊しが決まった「高尾ビル」(姫路市高尾町)。モノレールの軌道がビルを貫く珍しい形で、ビル内では「大将軍駅」が営業していた。写真右手に軌道を支えていた柱・橋脚が見える。6月12日撮影

取り壊しが決まった「高尾ビル」(姫路市高尾町)。モノレールの軌道がビルを貫く珍しい形で、ビル内では「大将軍駅」が営業していた。写真右手に軌道を支えていた柱・橋脚が見える。6月12日撮影

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 1974(昭和49)年に運行休止になった姫路市営モノレール「大将軍駅」の遺構が残る集合住宅「高尾ビル」(姫路市高尾町)の取り壊しが決まった。

建設が進む高尾ビルの様子

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 1966(昭和41)年の開業から1974(昭和49)年の運行休止まで、姫路駅と手柄山駅(手柄山中央公園)間の約1.8キロを運行していた同モノレール。大将軍駅は唯一の中間駅で、日本住宅公団(現在の都市再生機構)が所有する10階建て同ビルの3~4階に駅施設を置いた。

 同駅は、利用客の少なさから開業後2年で営業を停止。同様にモノレールもわずか8年で運行を取りやめた。廃止は1979(昭和54)年。仮建築だった姫路駅は早々に解体されたものの、残る駅施設や軌道の撤去は遅れた。中でも軌道が高層ビルを貫く珍しい景観が残る同ビルは、旧沿線最大の「モノレール遺産」として市街地に君臨。鉄道や写真の愛好家に格好の題材を提供していたが、現行の耐震基準を満たさないことから解体・撤去が決まったもの。

 「詳しい解説は良書に譲るとして、ただ惜別の思いあるのみ」と鉄道ファンの水野雅滋さん(姫路市在住)。「モノレールの旧沿線では今年4月、船場川を挟んで軌道と並び建っていたレンガ造りの建物『山陽色素姫路第二工場』(延末)も姿を消した。このビルが、当時の様子を伝える最大にして最後の遺構といえる」と解体を惜しむ。

 解体は、ビル内の住宅賃貸契約期限が切れる2015年5月以降を予定。

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