山陽電気鉄道(以下山電、本社=神戸市長田区)が8月19日、姫路開業90周年を迎えた。
山電のルーツは、1910(明治43)年に兵庫~須磨間で開業した兵庫電気軌道(以下、兵電)。1917(大正6)年には明石まで路線を延ばした。明石から姫路までの路線は系列会社の明石姫路電気鉄道(以下、明姫電鉄)を立ち上げ建設をもくろんだものの大株主間の抗争により頓挫。抗争に敗れた一部株主らが明姫電鉄を引き継いで設立した神戸姫路電気鉄道(以下、神姫電鉄)が建設を手掛けた。
神姫電鉄は1923(大正12)年、明石~姫路間で開業。国鉄(当時)姫路駅前に設けた終点を「姫路駅前」駅と名付けた。明石以東では、現在の第二神明道路に近いルートで新線を建設し、当時の神戸で随一の繁華街・湊川と姫路を結ぶ計画もあった。
姫路開業4年後の1927(昭和2)年、関西電力の前身に当たる電力会社「宇治川電気」が神姫電鉄・兵電の両社を買収。翌年には明石市内で両社の路線をつなぎ、兵庫~明石~姫路間での直通運転を開始した。1933(昭和8)年には、新会社「山陽電気鉄道」として宇治川電気から分離独立。一時は途中駅の飾磨(姫路市)から「山陽」地方有数の都市・岡山への延伸を目指したが実現せず、延伸は網干(同)までにとどまり現在に至る。
開業当時の姫路終点は、高架の現在と異なり地上駅。神姫バスターミナル(西駅前町)や大手前通り、FESTAビル(駅前町)に当たる場所にホームなど駅施設があった。現在の駅(山陽姫路駅、南町)に高架で乗り入れたのは1954(昭和29)年。60年近くが経過したことから旧駅付近に当時の面影はない。
90周年当日の8月19日、山陽姫路駅にはいつもと変わらぬ様子で電車が発着し、記念日を祝う様子は見られなかった。