見る・遊ぶ

姫路・山陽百貨店が開業60周年-「ゼロからの出発」、挑んだ1期生13人

開業60周年を迎えた山陽百貨店(姫路市南町)。写真は本館で、正面に60周年を祝う懸垂幕が見える。6月17日撮影

開業60周年を迎えた山陽百貨店(姫路市南町)。写真は本館で、正面に60周年を祝う懸垂幕が見える。6月17日撮影

  • 29

  •  

 姫路駅前の「山陽百貨店」(姫路市南町)が7月1日、開業60周年を迎えた。

開業当時の山陽百貨店

[広告]

 同店は、姫路と神戸を結ぶ山陽電鉄(神戸市長田区)グループの一員。売り場面積は約2万8000平方メートル。2階に山陽姫路駅を、1階にバスセンターを、それぞれ併設する「ターミナルデパート」として、JR姫路駅前のメーンストリート・大手前通りに店を構える。

 同店の設立は1952(昭和27年)9月。同電鉄が戦前から温めていたという姫路でのターミナルデパート開設構想を軸に、地元バス会社「神姫バス」(西駅前町)との共同出資で法人を立ち上げた。1953(昭和28)年6月には、鉄筋コンクリート造地上3階建てのビルが完成。7月1日に「ヤマトヤシキ」(二階町)に続く市内2番目の百貨店として開業した。

 設立にあたり同電鉄は、社員4人を役員として同店に派遣。同店でも大卒社員13人を幹部候補第1期生として新たに採用し、地元採用の社員とともに迎え入れた。

 第1期生の研修先としたのは老舗百貨店の三越神戸店(1984年閉店)。地元採用で入社し、後に13人の一人・高須克之さん(故人)と職場結婚した惠子さん(姫路市在住)は「3カ月間にわたる厳しい研修だったと聞いている。『エンポウ』(=手洗い)や『キザ』(=社員食堂)といった売り場担当者だけに通じる符丁で来店客の手前をはばかる作法も、三越から持ち帰ったもの」と振り返る。

 以来同店は5回の増改築を重ね、現在の本館(地上6階地下1階)が完成したのは1987(昭和62)年10月。1991年10月には駅西地区にできた再開発ビル「キャスパ」(西駅前町)に西館を開設し、売り場面積を約2倍に増やした。現在の売上高は約203億円(2012年度)と、85店ほどある市内の大型小売店で長年にわたり首位の座を保つ。

 「鉄道専業の会社が始めた百貨店。まさに『ゼロからの出発』だったことを思うと、にぎわいを見せる現在の様子には感慨深いものがある」と惠子さん。「努力と苦労、工夫を重ねた第1期生だが、(夫の)克之同様すでに鬼籍に入った人もあるだろう。私も退職して50年以上がたつ。しかし当時のことは今でも忘れない」と懐かしむ。

 同店では現在、2016年末にかけて約4000平方メートルの増床と売り場改装を計画中。一部で着手するとともに「日本一生き生きとした百貨店」の実現をスローガンに掲げ、「温かみあふれる百貨店として、地域のお客さまからさらなる支持を頂けるよう店舗づくりを推進していく」とする。

 営業時間は10時~19時30分(一部フロア除く)。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース