旧施設の刷新による2年ぶりの地下街再開から1週間がたつ姫路駅前の繁華街では、同駅利用客を中心とする人の流れが変化を見せ始めている。
地下街の再開は3月28日。姫路駅前の再開発に伴い2011年3月から閉鎖が続いていた旧地下街が改装を終え、2年ぶりにオープンした。地下街の名称は「GRAND FESTA(グランフェスタ)」で、飲食店を中心に51店が出店。姫路初出店となる「バーガーキング」や「タリーズコーヒー」をはじめ、「タコピア」や「御座候」といった旧地下街の「名物店」も復活し、ランチタイムには行列ができるほどのにぎわいを見せる。
あおりを食らっているのが、地下街の閉鎖中に利用客の受け皿となっていた同駅周辺商店街の飲食店。地下街に程近い「みゆき通り」と「おみぞ筋」の両アーケード街を結ぶ「一番街」の飲食店関係者は、「目に見えて客が減った」とこぼす。
地下街でも、人の流れの変化に戸惑いを隠せない店がある。「旧地下街は、姫路駅の地下改札口に直結していたが、高架化で同改札口がなくなりアクセスが悪くなった。特に朝のラッシュ時では、繁華街へ向かう人の利用が見られない。午前中の売り上げは見込みの半分ほど」と旧地下街時代から出店している飲食店関係者。「一方で、駅へ向かう利用客は、もの珍しさもあってか地下街をよく利用してくれる。高架化や再開発の進展で駅やバスターミナルの待合スペースが縮小されていることもあり、列車やバスの待ち時間を飲食店に座って過ごす人も多いようだ」と話す。
「目新しい店や、利用しやすい店に人気が集まるのは、仕方がないところでは」と地下街で買い物を楽しむ沢多江美さん(姫路市在住)。「お互いに競い合うことで、『まち』全体の魅力向上につなげてほしい」と注文を付ける。
同駅前では、新駅ビル「ピオレ」が4月30日に開業。同ビルと地下街の間に姫路市が設ける半地下式庭園「サンクンガーデン」も同日供用となることから、人の流れにはさらなる変化が見込まれる。