姫路を中心とする兵庫県内でガソリンスタンドや民間車検工場などを運営する「ナカムラ」(姫路市国府寺町)が昨年4月から取り組んできたガソリン車のEV(電気自動車)改造プロジェクトが10月に完成し、兵庫県北部~南西部の車検を管轄する姫路自動車検査登録事務所管内では初となるナンバープレート取得に成功した。
同社のメカニック6人が取り組んだ同プロジェクト。「これからの自動車社会にはEVの存在が欠かせない。時代に先行するためにも、ガソリン車からのコンバージョン(EV改造)にチャレンジした」とメンバーのリーダー・松田亨さん。「コンバージョンを前に昨年9月には、新潟県の専門業者でノウハウを学ぶなど準備を重ねてきた」と振り返る。
コンバージョンのベースに選んだガソリン車は、イタリア車・フィアット500チンクチェント。劇画やアニメの主人公「ルパン三世」(モンキー・パンチ著)の愛車として知られ、映画「カリオストロの城」では華麗なカーアクションも描かれた。
「1968年製の中古車を購入したが、辛うじて動く状態。外装の傷みもひどく、コンバージョンを前に板金作業など補修にかかった期間は約6カ月」と松田さん。車体も明るいオレンジ色に再塗装した。「コンバージョンそのものにかかった期間も約6カ月。通常作業の空き時間などを利用し少しずつ進めた」と説明する。
この間には、国土交通省が「コンバージョンEVガイドライン」を改訂。7月に施行したことから、提出書類の書き直しを迫られるなど「苦心もあった」(松田さん)というが、「結果的には、改訂後いち早いナンバーの取得につながった。車検担当者からは、姫路のみならず近畿でも『おそらく初』と聞いている。名誉なことだ」と喜びを語った。
ナカムラでは、同車を展示車やデモカーとして活用していく予定。問い合わせは同社が運営する「ホリデー車検姫路今宿店」(東今宿2、TEL 079-295-2810)まで。