姫路駅前のバスターミナル「神姫バスセンター」(姫路市西駅前町)から8月8日朝、毎月1便運行される時刻表にないバス路線「名古山霊苑行き」が今月も発車した。
神姫バスが運行する同路線は、バスターミナルと姫路市営墓地がある公園「名古山霊苑」を結ぶ。運行日は5月~3月の各月8日のみ。公園内で執り行われる月例法要に合わせ、霊苑行き1便を設定している。霊苑からバスターミナル行きは2便。いずれも臨時便ながら「路線バス」で、運賃を支払えば誰でも利用できる。大人200円(こども100円)。
一方で同路線は時刻表にない系統。同社ホームページが提供する全路線の時刻表検索でも運行日や発車時刻を見つけることができない。終点の「名古山霊苑」に至っては路線図にもない。一般に運行を知ることが難しい「幻のバス」ながら一定数の利用客があると見られ、取材日の8日には運行日に限って設置する「名古山霊苑行」の案内板を先頭に約70人が待合室に列を作った。「お盆前ということでもないだろうが、今月の利用客は多め」とバスターミナル係員。
「15年ほど前にターミナルが改装されるまでは、運行日や時刻の掲出があったように思う。13番まであった乗り場のうち、1番から発車していた」と話すのは、列に並び発車を待つ三木勝子さん(明石市在住)。「約25年にわたり毎月のように利用してきた私にとっては『幻』ではなく『当たり前』の存在」とバスに乗り込んだ。
定刻の9時30分、バスは発車。この日は先行するバスを追う形での続行便と合わせ2台で運行した。2台の行き先表示は「臨時 名古山」で、待合室の案内板にあった「霊苑」の表記が見られないものの利用客は心得た様子。途中のバス停は全て通過し、10分ほどで終点の霊苑に着いた。霊苑バス停の表記は「名古山霊園」と、ここでも「霊苑」は蚊帳の外。それでも戸惑う利用客はなく、次々にバスを降り法要が執り行われる仏舎利塔へ急いでいた。