姫路駅前で半地下式庭園「サンクンガーデン」の供用が始まった4月30日、集まった市民らが「フラッシュモブ」で完成を祝った。
JR姫路駅の新駅ビル「Piole(ピオレ)姫路」と地下街「GRAND FESTA(グランフェスタ)」の間にできた同庭園。東西約70メートルで、南北約24メートル。面積は約1700平方メートル。「サンクン」は「沈めた」の意で、姫路市が整備を進める「北駅前広場」の一角を掘り下げて作った。庭園には人工水路や石垣、樹木を配置。市街化の進展で埋め立てられるまで同位置にあった姫路城の外堀をイメージする。
当日は供用開始に合わせ、市民団体「姫路駅前広場活用協議会」(松岡淳朗会長)のメンバーらが「フラッシュモブ」を実行。庭園の誕生を祝おうと同協議会と姫路市が共催した。フラッシュモブは、害のないハプニングを起こして周囲の注目を集めるゲリライベント。公共の場所へ不特定多数の人が集まりパフォーマンスなどを披露する。披露後は即座に解散するのも特徴の一つ。今回は、チラシやインターネットでの呼び掛けに応じた市民ら合わせて約100人が参加した。
イベントでは、ファンファーレを合図に参加者らが童謡「ふるさと」を歌いながら庭園の中央に集合。突然の出来事に、同日10時の「ピオレ姫路」グランドオープンを待つ人らが半ば不審げに庭園へ目をやった。観衆の注目が集まる中、庭園中央には同庭園の供用開始を告げる横断幕も登場。参加者らは2曲目「ハッピーバースデートゥーユー」の合唱に合わせダンスも披露した。3曲目の「僕らはみんな生きている」では歌声も高まりを見せ、観衆の中には手拍子で合わせる人の姿も。応えるかのようにダンスの振りも大きくなった。
歌い終わると同時に参加者らは掛け声と共にポーズを決め、何事もなかったかのように解散。見守っていた観衆の拍手に送られ、庭園を後にした。
「あいにく雨に降られたものの、参加者と観衆の両方に喜んでもらえて良かった」と同協議会の谷本あけみさん。「同庭園は市が管理するが、今後の活用では市民の積極的な参画を協議会として模索しているところ。官製の式典ではなく、一般市民が自由に参加して(庭園の)オープンを祝えるイベントを実行できたことには大きな意味がある」と成功を喜んだ。
「『どっきりカメラ』を思い出した。傘を揺らしながら踊る様子に引き込まれてしまった」と観衆の一人で加東市在住の阿江美能さん。飛び入り参加もできたということを知ると、「それなら私も踊ればよかった。参加できた人はラッキーですね」と話していた。