姫路駅前のコワーキングオフィス「mocco(モコ)」(姫路市綿町)で8月24日、「そうめん流し」イベントが開催された。
フリーアドレス(自由席)のドロップイン(一時利用)でコワーキングスペースを提供している同オフィスは、今年5月にオープン。稼働率の向上などでオフィスの活性化を図ろうと、映画上映会などの自主イベントを数回開いてきたが、「あまり積極的とは言えなかった」とオーナーの梶原伸介さん。「『モコ』にとって初めての夏がこのまま終わるのも残念。何か夏らしい企画をと、急きょ『そうめん流し』イベントを実施することにした」と話す。
準備段階では、「家庭用卓上そうめん流し器の利用も頭をかすめたが、あまりにしょぼい」と思い直した梶原さん。本物の竹を組み合わせることでそうめんを流す仕掛けを作ろうと、知人のつてを頼り竹林を訪ねた。手頃な竹を切り出して縦半分に割ってみたところ、「竹の中には虫がたくさんすみ着いていた」(梶原さん)ことで使用を断念。店舗装飾などに使うプラスチック製の建材で、竹に似せた「擬竹(ぎちく)」を代わりに調達し、オフィス内へ持ち込んだ。
持ち込んだ擬竹の長さは5メートルほど。約15度の勾配をつけて木組みの柱で支え、上流の流し口付近にコンロと鍋を、下流の受け口にはたらいとざるを、それぞれ置いて仕掛けをしつらえた。受け口のたらいには、風呂の残り湯を洗濯機などに移す市販のポンプを設置。ホースを通じて流し口との間で水を環流させる仕組みも整え、イベント当日を迎えた。
当日は15人ほどが参加。地元名産の高級そうめん「揖保乃糸」や無名の業務用そうめんを次々とゆでては流し、参加者らに提供した。参加者らは歓声を上げながら、手にした箸を流れる水に突き立ててそうめんをキャッチ。ネギやゴマを薬味に加えたそうめんつゆで味わった。
「思いつきで企画したイベントだったが、楽しんでもらえて良かった」と梶原さん。「自分なりに『夏の思い出』を作ることができたので悔いなく秋を迎えられる」と満足げな表情を見せた。