姫路沖の播磨灘で捕れる魚「ボラ」の卵巣を加工して作る珍味「からすみ」を新たな名物として売り出そうという取り組みが徐々に広がりを見せつつある。
からすみは、塩漬けにしたボラの卵巣を再び塩抜きし、天日干しで乾燥させた加工食品。日本酒に合う食材として珍重されてきた。国内の有名産地は長崎県。越前(福井県)のウニや三河(愛知県)のコノワタと並ぶ日本三大珍味の一つ「肥前からすみ」として知られるものの、「市場への供給は国内有数のボラ漁獲量がある兵庫県の業者が担ってきたところも大きい」と、からすみを姫路名物にしようと取り組む市内の食品販売業「ジブフーズ」(姫路市南今宿1)の後藤博一社長は説明する。
同社では、従来長崎や三重、石川といった消費県へ出荷することでさばいていたからすみを姫路ブランドで売り出そうと計画。ノウハウを持つ市内の水産加工業「大漁丸水産」(家島町坊勢)の協力を得て商品化にこぎ着けた。キリ製の木箱などパッケージにも工夫を凝らし、この春から市内の物産店を通じて販売を開始。現在は、姫路城大手門前「姫路の宝蔵」(本町)や、じばさんセンター内「播産館」(南駅前町)などで姫路産「本からすみ」として販売している。
「特産の赤穂塩を使用。有名産地に負けない品質のからすみができた。形がふぞろいなB級品への特化で価格を抑えていることもあって、観光客の反応はまずまず。メニューや食材として取り入れてくれる飲食店も徐々に増えてきた」と後藤さん。「まずは数ある姫路名物の一つとして認めてもらうことが目標。周知に努めるとともに、10月の漁シーズン到来に合わせA級品の提供も目指したい」と意気込む。