姫路駅前の中心市街地に年末の訪れを告げるイルミネーション「ひめじウィントピア」(通称=ヒメナリエ)の点灯式が11月23日、開催された。
姫路駅前を縦横に伸びるアーケード街の夜を彩る同イルミネーション。2001年の初点灯以来今年で12回目を迎える年末恒例のイベントながら、正式名称の「ウィントピア」で呼ばれることはまれ。神戸で毎年12月に点灯されるイルミネーション「神戸ルミナリエ」になぞらえ、市民の間ではもっぱら「ヒメナリエ」の通称で親しまれる。
主催団体で委員会を組織し統一テーマの下で運営されるルミナリエとは異なり、ヒメナリエはみゆき通り(延長約540メートル)や西二階町通り(約320メートル)といったアーケード街ごとに異なるテーマのイルミネーションを点灯するのが特徴。点灯期間もルミナリエの12日間に比べ約2カ月間と長い。
来年は、みゆき通りのうち姫路駅から十二所前線にかけての区間約160メートルでアーケードの改装を予定していることから、同区間でのイルミネーションは今年が見納めとなる。
建て替え工事中の旧御幸苑ビル前で開催された点灯式では、点灯に先立ち16時30分から市立高浜小学校マーチングバンドの約80人が吹奏楽を披露。17時に姫路市商店街連合会の福田恵介副会長ら2人が特設ボタンを押すのに合わせてイルミネーションが点灯すると、集まった約100人の買い物客らが一斉に見上げ拍手を送った。
「正式名称はウィントピアだが、特に若者はヒメナリエの通称に親しみを覚えているようだ」と点灯式で福田さん。「いずれの名で呼ばれようとも、年末恒例のイベントとして多数の人に楽しんでもらえればうれしい」と式辞を述べた。
当日は、3連休の初日とあって各アーケード街とも通行量は多め。それでも18時を迎えると一部でシャッターを下ろす店が現れ、20時にかけてほとんどが店じまい。明々と輝くイルミネーションの下では、家路を急ぐ人々が足早にアーケード街を通り過ぎる様子が見られた。
「通称が自然発生するあたりに、地元の皆さんの『まち』への愛情とエリアの可能性を感じる」と秋田経済新聞(秋田県秋田市)編集長の千葉尚志さん。姫路経済新聞と同様に地方都市で街の移り変わりと人々の活動とを見守る立場から、「秋田では、まちなかの『ゆるい』仕掛けをあえて楽しもうとするムーブメントが広がりつつある。イルミネーションの点灯時間に商店が店じまいしている光景も、地方都市ではよく見られることだ」と続け、「店主が寝ている間に『こびと』が働いてくれるグリム童話もある。市民は、静かなアーケード街にともるイルミネーションをあえて楽しんでみればいいのでは」と話し、ヒメナリエにエールを送る。
点灯時間は、おおむね日没前後~22時ごろ。各商店街により異なる。来年1月16日まで。