姫路城内堀で今年も、市民らが復元した手こぎ式和船の運航が始まった。

桜門橋の下をくぐる和船

　和船は木造の高瀬舟形式。絵図などを基に2013年3月、姫路藩和船建造委員会（姫路市的形町的形）のメンバーらが、物資の運搬などに使われていた往時そのままに復元した。全長は約9.5メートルで最大幅約2.3メートル。動力を使わない手こぎ式で、12人が乗船できる。同城大手門前の武者溜（だま）りに設けた乗船場に発着。解説を担当する市民ガイドも乗船し、約30分かけて内堀を巡る。2年目を迎える今年は、春秋に加え夏の運航も決まった。

　取材日の3月7日は、最低気温が氷点下を記録。寒い朝を迎えたものの晴れ上がり、日差しに恵まれた乗船場では、ちょうど出発する船の姿が見られた。空席を確認して乗船。若手船頭のかじ取りで、コースの前半は城の西側を北上する。建造の時代によって積み方が異なる石垣の解説などを受けながら、城が縄張りを設ける丘陵「姫山」の斜面がそのまま堀へ落ち込む天然の要害「姫山原生林」を間近に観察してUターン。乗船場を通り過ぎると、後半コースに入る。

　後半コースでは、城の正面口・大手門につながる橋「桜門橋」の下をくぐり東進。護国神社裏手で左に折れ、城の東側を北上。獣舎や遊具が並ぶ市立動物園を右手に「平成の大修理」が大詰めを迎える同城大天守を遠望し、再びUターンして桜門橋から乗船場へ戻った。運航距離は1.5キロほど。乗り合わせた観光客らは、ガイドの案内にうなずきながら聞き入るとともに徒歩では見ることができない風物の数々を楽しんでいた。

　乗船料は、大人＝1,000円、中学生以下＝500円。運航日は11月30日までの土曜・日曜・祝日。運航間隔は40分ごとで、始発＝9時30分、終発＝15時30分。桜の開花時期を挟む3月20日～4月20日は毎日運航。終発を16時50分まで延長する。予約不可。