姫路・船場城西地区のまちづくり活動拠点「にしまちや」(姫路市龍野町5)で8月19日、大正期以来の町家とされる同施設を整備するワークショップ「楽」が開催された。主催はNPO法人「歴史とであえるまちづくり船場城西の会」。
旧西国街道をメーンストリートに安土桃山時代から商人の町として栄えてきた歴史を持つ同地区。明治期には現兵庫県の前身となる旧飾磨県庁が置かれたのをはじめ、大正期までには日本赤十字社が同県庁跡地に姫路赤十字病院を整備。江戸初期に東本願寺(京都市下京区)が布教拠点として開いた別院「本徳寺(船場御坊)」(地内町)の存在も相まって、同地区は姫路をはじめとする播磨地域の核の一つとして機能してきた。
近年は、赤十字病院が2001年に新病院(下手野1)へ移転したことや、繁華街の中心が姫路駅前地区へ移り商店の廃業が目立つことなどから、「にぎわいが失われつつあるのが悩み。残る町家も耐用年数の問題などから保存が急がれる状況」と同NPO理事の中山栄一郎さん。2004年には同地区の有志でNPOを結成し、「歴史的町並みの保存と、現在は更地になっている旧飾磨県庁・赤十字病院跡地の活用提案に取り組みながら、本徳寺で年間5回開催するフリーマーケット『船場御坊楽市』など250回以上の事業を実施し活動を続けてきた」と振り返る。
「にしまちや」は、大正期に建てられたという築約100年の町家が空き家となっていたことから、同NPOが借り受け今年5月から運営。1階の一部を仮整備し同NPOの定例会などで活用してきたもの。今回のワークショップでは、手つかずだった1階の南半分と2階を「町家のしつらえを粋に復元」することをテーマに清掃と整備を行い、同NPOのメンバーら約15人が参加した。
「今後もワークショップなどを通じ、当施設を地区のシンボルとして再生させたい」と中山さん。「姫路市の肝いりにより市内4地区で定期的に開催している『まちなかあるき』イベントでは休憩所として活用していくほか、当施設の再生を、各所に残る町家再生のモデルケースとして参考にしてもらえれば」と展望を語る。