姫路の灘菊酒造・西蔵(姫路市手柄1)で10月2日、各地の製塩家が独自に生産する塩(=地(じ)の塩)をテーマに月例会と講演会が開催された。
地産地消をテーマに活動する団体「食・地の座」の月例会として開催された同講演会。月例会では、同団体が例年1月に開催する地産地消品の発表・展示会「味覚の展示場」に向け、地元の酒造メーカーや農家、和洋菓子店など「食」を家業とする人らが集まり親交を深めるとともに、情報を交換・共有する。
今回の例会では、同団体が本年度のテーマに据える食材「塩」について高知県四万十町で海水を原料に天日干しで塩を生産する森澤宏夫さんを講師に招き、講演会を開催。「塩は食の基本」とする森澤さんが普段の仕事着姿で登壇し、2002年の塩業自由化以前から取り組んできた火を使わない天日干し製法による塩「山塩小僧」の沿革や製造法などを紹介した。
「元来、塩は地産地消が当たり前の食品」と森澤さん。「国が専売する工業塩に押され、途絶えかけた伝統製法による塩作りだが、自由化以降は息を吹き返しつつある」と続け、「製品として『山塩小僧』を広めるよりも、『山塩小僧』の製法を広めることに注力し、活動を続けたい。各地に『地の塩』がよみがえることを願う」と語りかける中、集まった約100人の参加者らが熱心に耳を傾ける様子が見られた。