5月3日開幕の「平成中村座 姫路城公演」に先立ち、中村勘九郎さん・七之助さん兄弟ら歌舞伎俳優による「お練り」が4月30日、姫路市中心部の商店街一帯で行われ、開催ムードを盛り上げた。
「お練り」とは、歌舞伎公演や祭りなどの興行を広く知ってもらうため、出演俳優陣が練り歩く特別行事。出演する紋付きはかま姿の中村勘九郎さん、七之助さん兄弟はじめ、中村橋之助さん、中村虎之介さん、中村鶴松さん、片岡亀蔵さん、中村扇雀さんの7人が人力車に乗り込み、JR姫路駅前を出発してみゆき通りを行進。約2万5000人が集まり、商店街は歓声に包まれた。
平成中村座での姫路開催は初めてで、「大阪城公演をきっかけに、各地の城でやりたいと思っていた」という中村座の元に、姫路市からの申し出があり実現にこぎ着けた。
今回の演目は「美しいお城を借景にするなら昼夜共にご当地もので」と考えていた中村座。第1部が城内の「お菊の井戸」にまつわる伝説を素材にした怪談劇「播州皿屋敷」と三島由紀夫作の恋物語「鰯売戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)」、第2部は狂言を題材にした「棒しばり」と姫路城の最上階に住む異界の主、天守夫人の富姫と人間との夢幻の物語を描く泉鏡花の名作「天守物語」。全てが中村座に初めて登場する作品という。
公演は2023年に姫路城が世界遺産登録30周年を迎えることを記念して、三の丸広場に芝居小屋風の劇場を特設して5月3日~27日に行われる。チケットは全日完売。当日立見券の販売を予定する。