「大崎商店で紡ぐ革と膠の展覧会 de:river 支流をたどる」が11月29日、「大崎商店」(姫路市花田町高木)で始まる。主催は、にかわ製造体験の参加者で構成する「de:river実行委員会」。
同店が立地する高木地区は皮革産業が盛んな地域として知られる。にかわは動物の皮や骨などを煮出して作る天然の接着剤で、水で溶かして加熱すると液体になり、冷えると固体に戻る性質を持つ。建築や工芸、楽器、日本画の顔料定着などに用いられ、古代壁画の時代から使われてきたとされる。
かつて広く流通していた「三千本膠(にかわ)」が2010(平成22)年ごろに廃盤となったことを受け、にかわ文化の継承を目的に「膠文化研究会」が発足。2012(平成24)年からは、にかわの製造体験会を同店で行っている。
展覧会では体験会に参加する作家の作品のほか、現地で技術を支える職人の手仕事を紹介する。展覧会名の「de:river」は「源から派生する」を意味する「derive」に着想を得たもの。市川の本流から細流が枝分かれする様子になぞらえ、にかわという素材が多様に展開し、さまざまな分野に行き渡るイメージを込めたという。
出展作家は、日本画家の浅埜水貴さん、波多江真純さん、山本志帆さん、宇都宮朱里さん、レザークリエーターの赤松伸哉さん、三木貴裕さん、一丞しゅんさん。
会期中はワークショップも行う。11月29日14時~16時は「革絵馬に大崎膠で絵を描こう」(参加費1,000円)、11月30日、12月6日・7日の13時からは「大崎膠と和紙・岩絵の具を使って創作遊び」(参加費300円)。工場見学にも対応する。
実行委員会代表の浅埜さんは「昔ながらの製法を知ってもらい、地域の文化として記録を残したい。地元の皮革について触れる機会にしてほしい」と来場を呼びかける。
開催時間は12時~17時。入場無料。12月8日まで。